静的バス情報フォーマット(GTFS-JP)の概要

「GTFS-JP」は「標準的なバス情報フォーマット」における静的データフォーマットであり、国際的に広く利用されている公共交通用データフォーマット「GTFS」を基本に、日本の状況を踏まえて拡張されたものです。GTFS-JPはGTFSとも互換性があるため、Googleマップをはじめとした海外の事業者へも情報提供を行うことが可能になっています。

GTFS(General Transit Feed Specification)とは

公共交通機関の時刻表とその地理的情報に使用される共通形式を定義したもので、当初はGoogle社向けのフォーマットとして作成されていました。現在はオープン化され、誰もが使用できるものとなっています。 零細事業者の利用も視野に、テキストエディタや表計算ソフトでの閲覧が容易なCSV形式を採用し、仕様がオープン化されていることから、北米・欧州を中心に海外で幅広くデータが整備されています。Googleマップなどの海外の経路検索サービスにおいても利用されています。

なお、本版のGTFS-JPは、平成29年1月時点のGoogle社の日本語版GTFSリファレンスに基づいています。ただし、それ以降のバージョンのGTFSフォーマットの利用を妨げるものではありません。

GTFSを基本とした理由

GTFSを「標準的なバス情報フォーマット」の静的データフォーマットの基本とした理由は下記等があります。

  1. 一般的なテキストエディタや表計算ソフトで編集可能なCSV形式なため、バス事業者においても扱いやすい
  2. データ項目やデータ形式が経路検索に利用可能なことが確認されている
  3. データ項目等を定義するレファレンスが早期に整備可能である
  4. Googleマップ等の経路検索サービスやライブラリ等が早期に利用可能である

フォーマットの構成

GTFS-JPは、17のCSVファイルで構成されており、CSVファイル間の相関関係は図表 1のとおりです。これら17のCSVファイルをzip形式で1つにまとめて、データの受渡を行います。 それぞれの項目の設定方法については、「2. 各項目の設定方法」に詳細を記載しています。

「GTFS-JP」相関図 図表 1 「GTFS-JP」相関図

日本向け拡張仕様について

GTFS-JPでは、日本の事情に合わせてGTFSを拡張しています。

拡張方法

ファイルや項目の追加(日本独自または非標準の採用)、ファイルや項目の必須化、その他既定があります。

GTFSとの互換性

GTFSの仕様違反にはならない範囲で拡張しているため、GTFS用のサービスやツールにおいてGTFS-JPデータを用いた際にエラーになることはほぼありませんが、追加項目や設定方法について警告が表示される場合があります。

命名規則

日本独自の追加については、ファイル名の後ろに「_jp」、項目名の前に「jp_」を付加しています。

以下に、具体的な拡張事項について記載します。

申請情報の追加(日本独自)
  • ファイル追加 事業者追加情報(agency_jp.txt), 経路追加情報(routes_jp.txt)
  • 項目追加 路線ID(routes.jp_parent_route_id)
  • 理由 運輸行政への届出用データの自動出力を将来的に可能にするため、および複数経路を路線として束ねた時刻表案内等を可能にするため。(初版)
営業所情報の追加(日本独自)
  • ファイル追加 営業所情報(office_jp.txt)
  • 項目追加 営業所ID(routes.jp_office_id)
  • 理由 営業所単位の問い合わせ先を案内可能にするため。(初版)
便情報の追加(日本独自)
  • 項目追加 便情報(trip.jp_trip_desc), 便記号(trip.jp_trip_desc_symbol)
  • 理由 便単位の詳細情報を案内可能にするため。(初版)
翻訳情報の追加(非標準の採用)
  • ファイル追加 翻訳情報(translations.txt, Google乗換案内拡張機能)
  • 理由 ふりがな、外国語案内の必要性が高いため。(初版)
のりば情報の追加(非標準の採用)
  • 項目追加 のりば情報(stops.platform_code, Google乗換案内拡張機能)
  • 理由 停留所名と独立してのりば名を設定可能にするため。(第2版)
運賃の必須化
  • ファイル必須化 運賃属性情報(fare_attributes.txt)、運賃定義情報(fare_rules.txt)
  • 理由 国内の経路検索事業者において運賃は必須情報であるため。(第2版)
よみがなの必須化
  • ファイル必須化 翻訳情報(translations.txt)
  • レコード必須化 よみがな(lang=ja-Hrkt)の設定
  • 理由 国内の経路検索事業者においてよみがなは必須情報であるため。(第2版)
事業者IDの必須化
  • 項目必須化 事業者ID(agency.agency_id, routes.agency_id)
  • 理由 事業者の名称や問い合わせ先等の情報を明確にするため。(初版)
経路を通過停留所別・方向別に分けることを原則化
  • 対象項目 経路ID(route.route_id)
  • 理由 通過経路や方向によって運賃が異なる場合に対応するため。(初版では必須、第2版では原則)

必須項目について

フォーマットを作成する上で、ファイル、項目の必要性について区分を以下のように定義しています。

  • 必須:必ず設定する必要がある項目。GTFS-JPとして新たに必須にした項目も含まれる。
  • 条件付き必須:関連する項目のどちらかは必ず設定するなど、条件付きで必須な項目
  • 任意:充実した情報提供のため可能であれば設定することが望ましい項目

必須および条件付き必須項目について、データ作成が困難なためやむを得ず設定できない場合は、データの対応フォーマットとして非対応項目を明示するようにしてください。(例:GTFS-JP(運賃非対応)」。その場合、経路検索事業者等がデータを取り込めない可能性があるため、取込の条件や代替手段について、データ提供者と利用者で相談するようにしてください。

データ作成にあたっての留意点

ファイル構成
  • 使用するすべてのファイルはコンマ区切りのテキストファイルとして保存。
  • 任意のファイルは省略可能。
  • すべてのファイルをまとめて zip 形式で圧縮。
利用可能文字等
  • 各行の末尾は CRLFまたはLFの改行文字で終わらせ、文字コードはUTF-8で保存。
  • 引用符またはコンマを含むデータは引用符で囲むことが必要。元のデータに引用符がある場合もそれぞれ引用符で囲むことが必要。
例)元のフィールド値: 新宿高速バスターミナル"バスタ新宿",新宿WEバス
→ CSV ファイルのフィールド値: "新宿高速バスターミナル""バスタ新宿"",新宿WEバス
  • データにHTMLタグ、コメント、エスケープシーケンスは使用不可。
  • フィールド名、データの間にある余分なスペースはすべて削除。
  • シフトJISにて環境依存となる文字は、表示側で不具合が生じる、または加工される可能性があるため、なるべく使わないことが望ましい。
フィールド
  • 各ファイルの最初の行はフィールド名(例:[agency_id]や[agency_name]等)とする。
  • すべてのフィールド名で大文字と小文字が区別される。
  • フィールド値にタブ、キャリッジ リターン、改行コードなどは使用不可。
  • フィールドの並び順は任意。
  • 任意項目はフィールドごと省略しても、値を全て空にしてもよい。
  • 独自のファイルやフィールドを定義しても構わない。ただしGTFS-JPとしての拡張との混同を避けるため、ファイル名の後ろに「_jp」、項目名の前に「jp_」を付けないこと。

各項目の設定方法

各項目の設定方法をファイル別に説明します。表中の赤文字のファイルおよび項目は、GTFS-JPとGTFS必須事項、青文字のファイルおよび項目はGTFS-JPで必須事項です。

事業者情報(必須:agency.txt)・事業者追加情報(任意:agency_jp.txt)

事業者の基本的な情報を設定します。事業者名称等が経路検索の結果として表示されます。一度設定した事業者ID[agency_id]は、可能な限り変更しないよう留意が必要です。 法人番号は、国税庁法人番号公表サイトにて確認できます。

agency.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
agency.txt 事業者情報 必須
★agency_id 事業者ID 必須※ 任意 事業者の法人番号を設定。ただし同一法人が複数のデータセットを作成する場合、アンダースコア区切りにより枝番号を設定しても良い。運行委託等を行っている場合、原則として運行委託元の法人番号を設定。自治体等が運営するコミュニティバス等は、原則として運行委託元の法人番号を設定。 ①8000020130001②8000020130001_1
agency_name 事業者名称 必須 経路検索で案内するのが適当な名称を設定。正式名称である必要はなく、旅客が交通機関を識別しやすい名称を設定。複数のグループ会社で運行しているが同一名称で案内している場合は、同一名称を設定する。 都営バス
agency_url 事業者URL 必須 原則として、事業者HPのトップページのURLを設定。複数の事業を経営している等の場合、個別の事業ページ(バス事業に関するトップページ等)のURLの設定も可。但し、設定したURLは頻繁な変更がなされないことに留意。HPがない場合は、その旨を記載。 http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/
agency_timezone タイムゾーン 固定 必須 日本の場合、「Asia/Tokyo」を設定。 Asia/Tokyo
agency_lang 言語 固定 任意 日本の場合、「ja」を設定。 ja
agency_phone 電話番号 任意 全社の窓口となる電話番号(本社代表電話、運輸部門代表電話、お客様センター等)を設定。運行委託等を行っている場合は、問合せに対応可能な主体の電話番号を設定。 03-2816-5700
agencyfareurl オンライン購入URL 任意 利用者が乗車券等をオンラインで購入な場合に、そのURLを設定。オンラインで購入不可の場合は省略。 ※東京都交通局には当該サイトがないため省略
agency_email 事業者Eメール 任意 利用者が問合せ等で利用可能なEメールアドレスを設定。 ※東京都交通局には当該Eメールがないため省略

agency_jp.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
agency_jp.txt 事業者追加情報 任意 不要
agency_id 事業者ID 必須 8000020130001
agencyofficialname 事業者正式名称 任意 申請等に必要な正式名称を設定。 東京都交通局
agencyzipnumber 事業者郵便番号 任意 ハイフンなしの半角数字7桁で設定。 1638001
agency_address 事業者住所 任意 都道府県から入力。住居表示通りに略さずに全角で設定。 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
agencypresidentpos 代表者肩書 任意 申請者の肩書を設定。 局長
agencypresidentname 代表者氏名 任意 姓と名の間は、全角スペース1文字を挿入。 東京 太郎

コミュニティバス等における設定方法

自治体と事業者が協力して運行するコミュニティバス等においては、agencyに自治体と事業者のどちらの情報を記載するか分かりづらいことがあります。下記の基準を目安に、自治体と事業者合意のもとagencyの情報を設定してください。

なお、「ふれあい号」などのバスの愛称については、agencyではなくroute_long(short)_nameに含めるようにしてください。

市町村営バス、福祉バス(79条自家用有償運送)

運営責任・運行は自治体(NPOが運行するケースあり)。事業者に運転手を派遣してもらうこともある。

  • データ作成主体:自治体
  • agency:自治体
いわゆるコミュニティバス(4条)

自治体の政策としてバスを運行。運営責任は自治体。運輸支局への申請は運行委託先事業者。時刻表のPRは自治体が基本的には行う。経路検索CPでは自治体として扱っている。

  • データ作成主体:①自治体 / ②事業者(データ作成を委託業務に含める) ※複数事業者に委託している場合は自治体が作成することが望ましい
  • agency:自治体
廃止代替バス

事業者路線が不採算で廃止するが、自治体が補填することにより、路線を存続。 バス車両・停留所標識は事業者のものを使用し、営業面・運賃は事業者の制度。 時刻表のPRは事業者が基本的には行う。利用者からすると事業者路線と変わらない。

  • データ作成主体:事業者
  • agency:事業者

停留所・標柱情報(必須:stops.txt)

停留所と標柱に関する情報を設定します。

標柱と停留所

  • 標柱とはバス停のポールを指します。同じ停留所名称で上りと下りにポールがある場合やターミナル等で複数のポールがある場合は、それぞれ別の標柱となります。
  • 停留所とは複数の標柱をまとめる概念です。
  • 両者は停留所・標柱区分[location_type]で区別します。
  • 標柱は親停留所情報[parent_station]に停留所・標柱IDを設定し停留所に対応づけられます。
標柱と停留所の設定パターン

標柱と停留所の設定パターンは次の3つがあります。下記の特徴を踏まえて、データ整備工数や熟練度、現地の複雑さ等に応じた方法を選択してください。

方法 停留所 標柱 データ作成 乗降場所 名寄せ・代表緯度経度
代表点のみ - 1 ○簡易 ×不正確 ○不要
標柱のみ - 複数 ○簡易 ○正確 ×不正確
親子設定 1 複数 ×複雑 ○正確 ○正確

停留所と標柱の設定パターン

  • 代表点のみ:データ作成は簡易ですが、乗降場所が正確でなく、徒歩ルートが正しく出ない可能性があります。
  • 標柱のみ:データ作成は簡易ですが、同一停留所の標柱が正しく名寄せされない可能性があります。また代表緯度経度が不適切になるため、バス停検索時の表示位置がずれたり、路線図やデータ分析結果をマップ上に表現する際に不適切になることがあります。
  • 親子設定:データ作成の手間はかかりますが、乗降場所、同一停留所であること、代表緯度経度をデータ利用者に伝えることができます。複雑なターミナルでは推奨される設定方法です。

stops.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
stops.txt 停留所・標柱情報 必須 ①「停留所」に関する設定例②「標柱」に関する設定例
★stop_id 停留所・標柱ID 必須 事業者が内部的に使用しているコードをそのまま設定する等、名称等が変更された場合でもIDは引き継ぐことを推奨する。 ①100②100_10
stop_code 停留所・標柱番号 任意 駅ナンバリングに相当する旅客向けの記号・番号を停留所や標柱が持っている場合は当該番号を設定。旅客案内用の記号番号であることに留意。該当がない場合は省略。 ※東京都交通局には停留所ナンバリング等に相当するものがないため省略
stop_name 停留所・標柱名称 必須 停留所名を設定する。その地域の住民や旅行者が理解できる名前を使用する。translationsでの翻訳を考慮し、よみがな付の名称や、IDを設定しても良い。 ①東京駅八重洲口②東京駅八重洲口
stop_desc 停留所・標柱付加情報 任意 停留所や標柱に隣接する施設等に関する付加情報を設定。(例:市役所前停留所の最寄りに市民会館がある場合、市民会館が最寄りである旨等)
stop_lat 緯度 必須 必須 標柱は標柱が設置されている場所の緯度経度を地理院地図から取得、またはGPS機器を用いて実測し設定。停留所は、代表地点が定められる場合はその地点の緯度経度、特段の代表地点がない場合は代表的な停留所の緯度経度または、「parent_station」で紐付けた標柱の緯度経度を平均した数値を設定。GTFSとして利用する場合は必須。国内CP等への提供時にも基本的には必須だが、緯度経度の設定がなくても受付可能な場合もある。 ①35.680515 ※ターミナル中心②35.679752 ※標柱位置
stop_lon 経度 必須 必須 ①139.764698 ※ターミナル中心)②139.768330 ※標柱位置
zone_id 運賃エリアID 任意 標柱の場合のみ設定可。運賃を案内する場合は必須。均一制の場合、運賃エリアを設定。対キロ制の場合、標柱IDを設定。 ①設定しない②Z_210 ※都区内エリアID
stop_url 停留所・標柱URL 任意 停留所・標柱に特化した情報(時刻表やバスロケ等)を案内するための特定のURLがある場合設定。停留所や標柱に紐づくURLがない場合は省略。 http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/noriba/tokyo.html
http://tobus.jp/blsys/navi?VCD=cresultrsi&ECD=reload&LCD=&RTMCD=50&selectedfixednumber=0&selectedstopmasterkey=884
location_type 停留所・標柱区分 任意 任意 登録するデータが、停留所なのか標柱なのか設定。停車時刻を設定できるのは標柱のみであることに留意。 0:標柱 1:停留所 ①1②0
parent_station 親駅情報 任意 任意 停留所-標柱の関係を設定することを原則とし、登録するデータが標柱(locationtype=0)の場合、当該標柱が属する停留所(locationtype=1)の「stop_id」を設定。 ①※設定なし②100
stop_timezone タイムゾーン 不要 任意 省略した場合、agency_timezoneが設定されるため、日本は設定不要。 ※設定しない
wheelchair_boarding 車椅子情報 不要 任意 指定した停留所・標柱における車椅子による乗車の可否を設定。バスの場合、停留所・標柱ではなく車両に依存するケースが多いため、当該停留所・標柱に停車するすべての車両が車椅子対応可能な場合で、かつ明確に当該停留所・標柱において車椅子の対応が不可であるようなケースを除き、設定を推奨しない。 ※設定しない
platform_code のりば情報 任意 任意 のりばIDを示す。ID(例: 「G」「3」「センタービル前」など)のみを指定でき、「番」「のりば」のような語句は含めることはできない。これらの語句はサービス側で言語に応じて補完する。 ①※設定なし②10

経路情報(必須:routes.txt)・経路追加情報(任意:routes_jp.txt)

バスの運行経路の情報を設定します。ここでいう経路とは、運行ルートの最小単位をいい、同一経路を運行する便ID[trip_id(trips.txt、後述)]を経路ID[route_id]に紐付けることで、同一経路を運行する複数の便をまとめて管理することになります(図表 6参照)。

経路の分け方

GTFS-JPでは、経由違いや途中止まり、往路・復路は別の経路として設定することを基本とします。図表 6の右の図の例では6つの経路ができる形となります。また、運賃は経路に紐付くため、同一経路でも運賃が異なる場合(深夜バス含む)も別経路として設定が必要です。 運賃、系統番号、路線名に違いが無いのであれば、GTFSと同様、入力簡易化のため往路・復路、経由違いや途中止まりを同一経路にしてもかまいません。ただし、別経路にした場合に比べ国内経路検索による取込に時間がかかる可能性があります。

経路のくくり方

また、路線ID[jp_parent_route_id]に経路ID[route_id]を紐付けることで、路線や系統に相当する概念を表現することができます。路線や系統の括りかたについては、事業者ごとに任意に設定することが可能です。

参考)Google Mapsではroute_short_name優先でroute_long_nameとどちらかのみ表示

Google Mapsでは、route_short_nameが設定されている場合はroute_long_nameは表示されません。route_short_nameが設定されていない場合はroute_long_nameが表示されます。

系統番号の設定方法については国交省ガイドラインを参照

系統番号を新たに導入または改良する場合は、国土交通省が定めた「乗合バスの運行系統のナンバリング等に関するガイドライン」を参考にしてください。(http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000091.html) 下記等の方針が示されています。

  • 市区町村の行政区域に拘らず、生活圏・交通圏単位で検討する
  • 「アルファベット+数字」又は「数字のみ」によって表現する
系統番号の導入・普及状況に応じた経路名設定方法

route_short_nameには系統番号の設定が原則なため、下記のような設定方法を推奨します。

ケース route_short_name route_long_name 備考
系統番号が普及している 都02
系統番号が未設定 岡山西大寺線
系統番号設定済だが未普及なため路線名と併記したい 62 天城線 routelongnameに記載しても良い

routes.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
routes.txt 経路情報 必須 利用者に一つの経路として案内する系統を定義。往路・復路を別経路として設定することを基本とし、停車パターン違い、運賃違い(深夜バス含む)も別経路として設定する。ただし、運賃、系統番号、路線名に違いが無いのであれば、往路・復路、停車パターン違いを同一経路にしてもよい。ダイヤ改正等があった場合でも、経路が変わらない場合は、IDは引き継ぐことを推奨する。
★route_id 経路 ID 必須 事業者が内部的に使用しているコードをそのまま設定可。 1001
agency_id 事業者ID 必須※ 任意 「agency」から参照。 8000020130001
routeshortname 経路略称 条件付必須 routelongname, routeshortnameの少なくともどちらかは設定する必要がある。系統番号(例:東16)を原則として設定する。系統番号が無い場合は、路線名称(例:駒沢線)、コミュニティバス等の愛称(例:ふれあいバス)等、当該系統を識別可能な略称等を等設定。経路名が設定されていて略称がない場合は、空の文字列を設定。また、急行・快速・直通等の運行種別について追記することが望ましい。 東16
routelongname 経路名 条件付必須 routelongname, routeshortnameの少なくともどちらかは設定する必要がある。経由地や目的地等を含んだ経路に関する詳細な情報を設定。系統略称でこれらの情報がカバーできる場合は、空の文字列を設定。 東京駅八重洲口~月島駅前~東京ビ ッグサイト
route_desc 経路情報 任意 不定期運行の既述は、trip_descへの記載が基本だが、GTFS向けにCalenderで制御が困難な不定期の運行等を説明する必要がある場合(「学校休業日に一部運休となる便があります」等)にその旨を記載。その他、経路に関する注記がある場合にも、その内容を記載。
route_type 経路タイプ 固定 必須 バス事業者は 3 を設定。 3
route_url 経路URL 任意 経路に特化した情報を案内するための特定のURLがある場合設定。紐づくURLがない場合は省略。 http://tobus.jp/blsys/navi?LCD=&VCD=cslrsi &ECD=picsroute&RTM CD=50
route_color 経路色 任意 経路を線やラベルなどで表現する場合の色を指定。色は00FFFF など 6 桁の 16 進数の値を設定。routetextcolorとのコントラストに留意。 FFD700(都バス路線図より)
routetextcolor 経路文字色 任意 経路を線やラベルなどで表現する場合に、その上に系統名などを表示する場合の色を指定。色は00FFFF など 6 桁の 16 進数の値を設定。route_colorとのコントラストに留意。 000000(黒色)
jpparentroute_id 路線ID 任意 経路の親となる情報(路線IDまたは路線名称等)を設定。ここで設定された情報により、複数の経路を路線として束ねて時刻表等の案内を実施。

routes_jp.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
routes_jp.txt 経路追加情報 任意 不要
route_id 経路ID 必須 1000
routeupdatedate ダイヤ改正日 任意 ダイヤ改正日を明示的に登録する場合に設定。 20170106
origin_stop 起点 任意 申請時に起点名に使用されるテキストを指定。 東京駅八重洲口
via_stop 経過地 任意 申請時に経過地名に使用されるテキストを指定。 月島駅
destination_stop 終点 任意 申請時に終点名に使用されるテキストを指定。 東京ビ ッグサイト

便情報(必須:trips.txt)

運行する便の情報を設定します。便情報は、「GTFS-JP」における運行情報設定の最小単位で、旅客が連続して乗車可能な1回の運行を1つの便情報[trip_id]として設定します。

trips.txt

便情報 必須

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
trips.txt 便情報 必須
route_id 経路 ID 必須 「routes」から参照。 1001
service_id 運行日ID 必須 「calendar」から参照。 平日(月~金)
★trip_id 便ID 必須 便を特定するIDを指定。例)routeid+serviceid+便番号など 1001WD001
trip_headsign 便行先 任意 便としての行先と経由を設定。急行・直通等の種別がある場合は、行き先に加えて種別を併記。【例:急行 錦糸町駅前行き】 東京ビッグサイト(月島駅経由)
tripshortname 便名称 任意 便を特定可能な名称がある場合、旅客に案内する必要がある場合のみ設定。【例:萩エクスプレス1号】ただしGTFSの仕様上、○号等の表示がなく、当該便の特定が不可能な場合は、tripshortnameではなくtrip_headsignの行き先に加えて名称を併記。【例:萩エクスプレス 東京駅八重洲口行き】また、不定期運行路線等に関する注記がある場合には、当該注記を設定。 ※設定例では便番号に相当するものがないため省略
direction_id 上下区分 任意 その便の往復区分を指定。 0:復路 1:往路 1
block_id 便結合区分 任意 別々の便(trips)として設定されている便を紐付け、連続して案内を行う場合に設定。バスの場合、連続乗車が可能な循環系統等を表現するために使用。 ※設定例は循環系統ではないため省略
shape_id 描画 ID 任意 「shapes」から参照。 S_1001
wheelchair_accessible 車いす利用区分 任意 当該便における車いすの乗車可否について設定。 0:車いすによる乗車可否の情報なし 1:少なくとも1台の車いすによる乗車可能 2:車いすによる乗車不可 0
bikes_allowed 自転車持込区分 任意 当該便における自転車の持込可否について設定。 0:自転車の持込可否の情報なし 1:少なくとも1台の自転車の持込可能 2:自転車の持込不可 0
jptripdesc 便情報 任意 案内時に便に説明が必要な場合に使用。Calenderで制御が困難な不定期運行路線や時刻表に路線としてまとめて表示する場合に説明が必要となる項目を設定。
jptripdesc_symbol 便記号 任意 時刻表形式で案内を行う場合に、便情報に代わり時刻に付ける凡例を設定。
jpofficeid 営業所ID 任意 「offices_jp」から参照。 S

営業所情報(任意:office_jp.txt)

営業所情報は、国内の経路検索事業者向けに設定された項目で、設定は任意です。営業所情報は、便情報に紐づくものであり、当該便を運行する営業所の情報を設定します。経路検索事業者によっては、ここで設定された情報に基づき、運行営業所の案内を行う場合があります。

office_jp.txt

営業所情報 任意

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
office_jp.txt 営業所情報 任意 不要
office_id 営業所ID 必須 通事業者の営業所を一意に識別する値を指定。 S
office_name 営業所名 必須 営業所名を指定。 深川営業所
office_url 営業所URL 任意 営業所に関するウェブページのURLを指定。個別のウエブページが存在しない場合は空欄。 http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/branch/006.html#mado02
office_phone 営業所電話番号 任意 営業所の代表電話番号を指定。 03-3529-3322

通過時刻情報(必須:stop_times.txt)

停留所の通過時刻を便ごとに設定します。 複数の事業者が共同運行する場合は、自社便の情報のみを設定することを原則としますが、相手会社の情報も混在している場合、その旨を経路情報[routedesc(routes.txt)]に注記が必要です。 乗車専用はpickuptype、降車専用についてはdropofftypeに1を設定します。ただし、発着の組み合わせによる乗降可否は表現しきれないため、経路情報[route_desc(routes.txt)]に注記をします。

stop_times.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
stop_times.txt 通過時刻情報 必須 複数の事業者で共同運行する場合は、自社便の情報のみ記載することを原則とする。複数社の情報が混在する場合は、その旨をroute_descに注記。
★trip_id 便 ID 必須 「trips」から参照。 1001WD001
arrival_time 到着時刻 必須 その便のその標柱への到着時刻を設定。起点はその標柱からの出発時刻と同じ時刻を設定。但し、dropofftypeが0の場合、同一trip_idにおいて同一時刻の設定不可。HH:MM:SS形式で、24時以降は25:01:00のように表現。 7:00:00
departure_time 出発時刻 必須 その便のその標柱からの出発時刻を設定。起点はその標柱への到着時刻と同じ時刻を設定。但し、pickuptypeが0の場合、同一tripidにおいて同一時刻の設定不可。HH:MM:SS形式で、24時以降は25:01:00のように表現。 7:00:00
stop_id 標柱 ID 必須 「stops」から参照。参照するstopsのlocation_typeは0であることが必要。 100_10
★stop_sequence 通過順位 必須 その便での該当標柱の通過順序を指定。通過順位は通過順に昇順で数値を設定。必ずしも連番である必要はない。 0
stop_headsign 停留所行先 任意 循環系統や経由地通過後の表示等、停留所により案内する行き先が変化する場合に設定。trip_headsignでの設定を上書き。 東京ビッグサイト(月島駅経由)
pickup_type 乗車区分 任意 降車専用の場合は1、デマンド等の場合2または3を設定。 0:通常の乗車地 1:乗車不可能 2:交通機関に乗車予約の電話が必要 3:運転手への事前連絡が必要 0
dropofftype 降車区分 任意 乗車専用の場合は1、デマンドやフリー降車等の場合2または3を設定。 0:通常の降車地(ブザーを押して申告する一般的な停留所を含む) 1:降車不可能 2:交通機関に降車予約の電話が必要 3:乗車時に運転手への事前連絡が必要 0
shapedisttraveled 通算距離 任意 起点からの距離を設定。単位はmとする。 0
timepoint 発着時間精度 任意 発着時間の精度を設定。日本では使用しない。

オンデマンドバスの設定例

各種オンデマンドバスについては、pickuptype、calendardates.txt等を用いて設定します。典型的なパターンの設定例を下記に示します。

途中で打ち切り

利用者がいなくなった時点で運行終了(途中停留所は降車専用) 始発停留所で利用がなければ、運行終了(途中停留所はデマンド) 例:高山市「のらマイカー」 http://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/689/h30kiyomi3.pdf

設定方法:pickup_typeを1にする

路線の一部がオンデマンド・時刻変更なし

例:松阪市「機殿朝見コミュニティバス」 https://www.city.matsusaka.mie.jp/uploaded/attachment/19558.pdf

設定方法:pickup_typeを2にする

経路検索事業者によって、下記のように表示の仕方が異なる場合がある。

  • 「要予約」と注記を表示:ナビタイムジャパン等
  • 注記を表示しない:スマートフォン用のGoogle Maps等
  • 表示対象としない:ヴァル研究所等
路線の一部がオンデマンド・時刻変更あり

路線の一部がオンデマンド区間があり、オンデマンド区間で利用がない場合と利用がある場合で時刻が変化する。 例:設楽町「稲武線」
http://www.town.shitara.lg.jp/odekake/files/route/time/inabusenn.pdf

時刻逆転が起きる可能性があり、経路検索事業者が取り込まない場合が多いので、データ整備の優先度は低い。

臨機応変な運行・運休日

登校日のみ運行、夏休み運休、学校行事や部活により運行/運休 など。

設定方法:calendardates.txtを設定する、GTFSリアルタイムのAlertを設定する、routedescまたはjptripdescに記載する、などの方法がある。

フリー乗降方式

停留所を設定できない場合はGTFS-JPデータを作成できないため、区間または路線単位で整備対象外とする。

運行区分情報(必須:calendar.txt)・運行日情報(任意:calendar_dates.txt)

平日や休日といった運行区分に関する情報を設定します。運行区分情報は必須、運行日情報は任意の設定となります。曜日ごとに運行・運休といった基本パターンを運行日ID[serviceid]として設定し、祝日等で平日ダイヤが休日ダイヤとして運行するような場合は運行日情報(calendardates.txt)で、当該日に運行ダイヤが変わる旨を設定することが基本であり、祝日に限らず、学校休業日や年末年始等でイレギュラーな運行がある場合も同様です。 このような運用が可能な場合は、正確に日程を設定することが望ましいですが、継続的に日付を設定することが難しい場合は、標準として用意された「平日(月〜金)」「平日(月〜土)」「土曜」「日曜」「祝日」「日曜・祝日」「土曜・日曜」「土曜・日曜・祝日」の8つの運行日ID[serviceid]により、運行日を表現することも可能とします。この場合、国内の経路検索事業者等は祝日等に応じた対応が可能となりますが、海外等でGTFSとして使用される場合、運行日情報(calendardates.txt)で運行日の例外を設定しないと祝日等の運行が正しく案内されない可能性があることに留意が必要です。また、学校休業日等祝日以外で運休(または運行)される場合は、便情報[jptripdesc(trips.txt)]で「学校休業日運休」といったような注記が必要になります。

calendar.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
calendar.txt 運行区分情報 条件付必須 すべてのサービスの日付がcalendar_dates.txtに定義されていない限り必須。
★service_id 運行日ID 必須 運行区分を表す値を設定。運行区分の判別が可能なIDを設定することが望ましい。尚、「平日(月~金)」「平日(月~土)」「土曜」「日曜」「祝日」「日曜・祝日」「土曜・日曜」「土曜・日曜・祝日」の8区分を標準のserviceidとして想定し、当該IDで提供された場合、国内CPにおいてはcalendardatesで祝日設定が行われていなくても、祝日を考慮した案内を実施。より正確な案内を実施するためには、calendar_datesで個別の運行日を設定することが望ましい。 ①平日(月~金)②休日
monday 月曜日 必須 サービスIDで指定されている運行区分が月曜日の運行を表す場合は1、非運行を表す場合は0を設定する。 ①1②0
tuesday 火曜日 必須 サービスIDで指定されている運行区分が火曜日の運行を表す場合は1、非運行を表す場合は0を設定する。 ①1②0
wednesday 水曜日 必須 サービスIDで指定されている運行区分が水曜日の運行を表す場合は1、非運行を表す場合は0を設定する。 ①1②0
thursday 木曜日 必須 サービスIDで指定されている運行区分が木曜日の運行を表す場合は1、非運行を表す場合は0を設定する。 ①1②0
friday 金曜日 必須 サービスIDで指定されている運行区分が金曜日の運行を表す場合は1、非運行を表す場合は0を設定する。 ①1②0
saturday 土曜日 必須 サービスIDで指定されている運行区分が土曜日の運行を表す場合は1、非運行を表す場合は0を設定する。 ①0②1
sunday 日曜日 必須 サービスIDで指定されている運行区分が日曜日の運行を表す場合は1、非運行を表す場合は0を設定する。 ①0②1
start_date サービス開始日 必須 サービスIDで指定されている運行区分の適用を開始する日付を指定。YYYYMMDD 形式で指定。ここで設定した日付がデータの有効開始日=改正日以降のデータとなる。 20170101
end_date サービス終了日 必須 サービスIDで指定されている運行区分の適用を終了する日付を指定。YYYYMMDD 形式で指定。 20171231

calendar_dates.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
calendar_dates.txt 運行日情報 条件付必須 calendar.txtが無い場合、本テーブルが必須となり全ての日について定義する必要がある。祝日等運行区分に基づかない例外的な運行をする日を設定。全ての不定期運行に対して設定することが望ましいが、設定が困難な場合は基本的な運行パターンをcalendarで設定し、jptripdescで例外がある旨を表示。 ①運行を停止するサービスを設定②運行を行うサービスを設定
★service_id サービス ID 必須 「calendar」から参照。 ①平日(月~金)②休日
★date 日付 必須 サービスIDで指定される運行区分の利用タイプを設定する日付を指定。YYYYMMDD 形式で指定します。 ①20170503②20170503
exception_type 利用タイプ 必須 dateで指定された日に、サービスIDで指定されている運行区分が適用されるかを指定。1 :運行区分適用2 :運行区分非適用 ①2②1

運賃属性情報(推奨:fareattributes.txt)・運賃定義情報(推奨:farerules.txt)

運賃に関する情報を設定します。GTFSでは任意となっていますが、国内の経路検索事業者において運賃は必須情報であることから、GTFS-JPにおいては必須としています。また、運賃定義情報も必須としていますが、運賃を設定する場合は必要であり、対キロ制の場合、全ての経路の全ての区間に対して運賃を設定する必要があります。 表現しきれない複雑な運賃の場合 本フォーマットでは、1日に何度乗っても固定料金、乗継割引等の複雑な運賃は表現しきれません。運賃に関する注記事項を[route_desc(routes.txt)]に設定することで、経路検索サービス等で注記が表示される可能性があります。

fare_attributes.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
fare_attributes.txt 運賃属性情報 必須 任意 GTFSとして利用する場合は任意だが、国内の経路検索事業者においては必須としていることから、GTFS-JPとしては必須としている。
★fare_id 運賃 ID 必須 fare_rules.txtと紐付けるためのIDを設定。 F_210
price 運賃 必須 fare_idで定義される運賃(円)を指定。 210
★currency_type 通貨 固定 必須 日本の場合、「JPY」を設定。 JPY
payment_method 支払いタイミ ング 必須 fare_idが適用される場合の運賃の支払いタイミングを指定。0 - 乗車後に支払う。1 - 乗車前に支払う。 1
transfers 乗換 必須 fare_idが適用される場合、料金で許可される乗り換え回数を指定。0:この料金で乗り換えることはできません。1 :1 度の乗り換えが可能。2 :2 度の乗り換えが可能。(空白):乗り換え回数に制限がなし 0
transfer_duration 乗換有効期限 任意 乗換が可能な場合、乗り換え期限が切れるまでの時間を秒数で指定。乗換を認めない場合、ここでの設定値は運賃の有効期限となる。意図的な期限を設定しない場合、空白か値を指定しない。 空白

fare_rules.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
fare_rules.txt 運賃定義情報 条件付必須 全線均一運賃の場合は不要、その他の場合はGTFS-JPとしては必須。
fare_id 運賃 ID 必須 「fare_attributes」から参照。 F_210
route_id 経路 ID 任意 任意 「routes」から参照。 1001
origin_id 乗車地ゾーン 任意 乗車地のzone_idを設定。対キロ制等、区間ごとに運賃が異なる場合は、全ての乗降区間のパターンに対して設定が必要。 Z_210
destination_id 降車地ゾーン 任意 降車地のzone_idを設定。対キロ制等、区間ごとに運賃が異なる場合は、全ての乗降区間のパターンに対して設定が必要。 Z_210
contains_id 通過ゾーン 不要 任意 使用しない。

運賃設定例

運賃については、stops.zoneid、fareattributes.txt、fare_rules.txtを連携して設定する必要があります。以下に、代表的な運賃パターンの設定例を示します。

例1:全線均一運賃

運賃:全線200円均一

fare_attributes.txtの設定

fare_id Price currency_type payment_method transfers
100 100 JPY 0 0

fare_rules.txtの設定:不要

例2:ゾーン制

運賃:停留所A~Bはeastゾーン 停留所C~Dはwestゾーン(系統1001)

ゾーン制

fare_attributes.txtの設定

fare_id Price currency_type payment_method transfers
200 200 JPY 0 0
400 400 JPY 0 0

fare_rules.txtの設定

fare_id route_id origin_id destination_id
200 1001 east east
200 1001 west west
400 1001 east west
例3:対距離制と均一制の併用

運賃:停留所A~Cは200円均一、その他は対距離制(系統1001)

ゾーン制

fare_attributes.txtの設定

fare_id Price currency_type payment_method transfers
180 180 JPY 0 0
200 200 JPY 0 0
220 220 JPY 0 0

fare_rules.txtの設定

fare_id route_id origin_id destination_id
180 1001 3_01 4_01
200 1001 1_01 2_01
200 1001 1_01 3_01
200 1001 2_01 3_01
200 1001 2_01 4_01
220 1001 1_01 4_01

描画情報(任意:shapes.txt)

標柱以外の通過ポイントを指定する場合に設定します。描画情報を設定しない場合、標柱間を単純に結んだ線が経路として表示されるため、より正確に運行ルートを表現したい場合に設定します。通常は設定しなくても、経路検索は可能です。

shapes.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
shapes.txt 描画情報 任意
shape_id 描画 ID 必須 地図上に描かれる描画を特定する値を設定。 S_1001
shapeptlat 描画緯度 必須 描画ポイントの緯度を指定。 35.679752
shapeptlon 描画経度 必須 描画ポイントの経度を指定。 139.76833
shapeptsequence 描画順序 必須 描画のポイントの順番を指定。描画では描画順序を0以上の整数で順に結ぶ。 0
shapedisttraveleded 描画距離 不要 任意 使用しない。

運行間隔情報(任意:frequencies.txt)

定められた時刻表がなく、一定間隔で運行する場合に設定します。運行間隔情報はGTFSのファイルとして定義されていますが、国内の経路検索で設定する必要性は低いと考えられます。

frequencies.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
frequencies.txt 運行間隔情報 任意 定められた時刻表がなく、一定間隔で運行する場合に設定。
trip_id 便ID 必須 「trips」から参照。 1001WD001
start_time 開始時刻 必須 定間隔運行案内を開始する時刻を指定。HH:MM:SS 形式で指定。24:00:00 以降の時刻は25:35:00のように表現する。 10:00:00 午前
end_time 終了時刻 必須 定間隔運行案内を終了する時刻を指定。HH:MM:SS 形式で指定。24:00:00 以降の時刻は25:35:00のように表現する。 4:00:00 午後
headway_secs 運行間隔 必須 定間隔運行案内を行う運行間隔の値は秒単位で設定。 900
exact_times 案内精度 任意 定期間隔運行案内を行う場合に時刻を具体的な時刻を案内しない場合は0、時刻を案内する場合は1を指定する。1が設定されている場合は、starttimeからendtimeまでheadway_secs間隔の時刻を案内します。 0

乗換情報(任意:transfers.txt)

通常は、標柱の緯度経度情報に基づき乗換ルートが案内されますが、明示的に乗換地点を指定したい場合に設定します。乗換情報はGTFSのファイルとして定義されていますが、国内の経路検索で設定する必要性は低いと考えられます。

transfers.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
transfers.txt 乗継情報 任意 明示的に乗換停留所を指定したい場合のみ設定。
★fromstopid 乗継元標柱ID 必須 便間の乗継情報を設定する場合、乗継元の標柱のstopidを指定。stopidは「stops」から参照。 100_99
★tostopid 乗継先標柱 ID 必須 便間の乗継情報を設定する場合、乗継先の標柱のstopidを指定。stopidは「stops」から参照。 100_10
transfer_type 乗継タイプ 必須 乗継の方法を指定。0:2 つのルート間の推奨乗継地点。1:2 つのルート間の時間が考慮された乗継地点。2:乗継には、最低限の乗継時間が必要。乗継時間の指定が必要。3 - ルート間の乗り継ぎが不可能なことを示します。 2
mintransfertime 乗継時間 任意 transfer_typeが2の場合に、乗り継ぎに必要な時間を定義。秒単位で入力し、0 以上の整数を指定。 120

提供情報(必須:feed_info.txt)

データを公開している組織の情報や作成したデータの有効期間を設定します。GTFSでは必須ではありませんが、GTFS-JPとしては必須となります。

提供組織(feedpublishername, feedpublisherurl)

整備・配信をシステム会社や運行委託先のバス事業者が行っている場合は、委託先のシステム会社・バス事業者名に設定しても構いません。

有効期間開始・終了日(feedstartdate, feedenddate)

ダイヤ改正日に正しくデータを切り替えられるようにするため、有効期間開始日にはダイヤ改正日を設定します。交通事業者がダイヤ改正等の連絡を情報利用者側に伝達することを失念するようなケースを想定し、1年程度の期間で提供終了日を設定し、少なくとも1年に1回程度は経路検索事業者へ最新データを提供する事が望ましいといえます。

feed_info.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
feed_info.txt 提供情報 必須
feedpublishername 提供組織名 必須 データを公開する組織の正式名称を指定。 東京都交通局
feedpublisherurl 提供組織 URL 必須 データ公開組織のURLを指定。 http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/
feed_lang 提供言語 固定 必須 日本の場合、「ja」を設定。 ja
feedstartdatefeedenddate 有効期間開始日有効期間終了日 任意 データが有効な期間を設定する場合に指定。YYYYMMDD形式で指定。feedstartdateには、ダイヤ改正日を指定。 省略
feed_version 提供データバージ ョン 任意 提供しているデータのバージョンを記載。記述方法は任意だが、交通事業者が認識するダイヤ改正日(YYYYMMDD)+社内の管理コード(XXXXX)等による表記が望ましい。(例:20170401A0015) 省略

翻訳情報(任意:translations.txt)

日本語(漢字名称や注記)をよみがなや英語、その他の言語に変換する際に設定します。

よみがなは必須

国内の経路検索事業者においては、よみがなを必須としていることから、よみがな(lang=ja-Hrkt)を設定することを必須としています。

翻訳対象項目

各項目の末尾に_name,_desc,_url,_headsignが付された項目に設定してある日本語(漢字等)に対応するよみがなや英語を設定します。

translations.txt

フィールド名 日本語名 国内 GTFS 申請 日本のバス向けの設定項目 設定例
translations.txt 翻訳情報 必須
★trans_id 翻訳元日本語 必須 翻訳元となる日本語を設定。当該日本語が含まれ、フォールド名がname,desc,headsign,urlで終わるものについて、langで検索がなされた際にtranslationsで設定した言語に変換を行う。 数寄屋橋
★lang 言語 必須 多言語の翻訳は、原則として2文字のISO639-1コードを指定。よみがなは「ja-Hrkt」として設定。日本語「ja」、ふりがな「ja-Hrkt」はGTFS-JPとしては必須。 ①ja②ja-Hrkt③en
translation 翻訳先言語 必須 よみがなは、原則としてそのままの読みを記載【例:とうきょうえきじゅうばんのりば】 ①数寄屋橋②すきやばし③Sukiyabashi

整備優先度

外国語対応に関しては、全ての項目に対して設定する必要はなく、停留所名称や行き先といった必要性の高い項目から、優先順位をつけて対応する等、業務負荷と必要性を比較考量した上で対応を検討する必要があります。

参考)Google Mapsの挙動を踏まえた設定例

Google Mapsの挙動を踏まえると下記の設定が必要になります。

  • 多言語を設定したtrans_idに対しては日本語(lang=ja)も設定する
(そうしなければ、日本語表示の際に別の言語が表示される)
  • 日本語(lang=ja)のレコードがよみがな(lang=ja-Hrkt)よりも前の行に設定する
(そうしなければ、日本語表示の際によみがなが表示される)

以上を考慮した設定例を示します。

trans_id lang translation
数寄屋橋 ja 数寄屋橋
数寄屋橋 ja-Hrkt すきやばし
数寄屋橋 en Sukiyabashi

翻訳表記方法

外国語データの作成にあたっては、日本バス協会訪日外国人旅行者のバス利用を想定した多言語対応に関するガイドラインを参考にしてください。下記のような事項が記載されています。

  • 原則として発音通りローマ字表記とする

    • 例:金閣寺前 → Kinkakuji-mae
  • 訪日外国人の関心が高くローマ字表記で理解しがたい場合は()で補足表記する

    • 例:永代橋 → Eitaibashi (Eitai Bridge)
  • 「駅」は「StationまたはSta.」と表記する

    • 例:吉祥寺駅 → Kichijoji Sta.

同一漢字で読みが異なる場合

下記の方法等により、同一漢字の停留所に異なるよみがなを設定可能です。

  • 方法1. stopnameおよびtransidを漢字名ではなくID(stop_id等)とする

stops.txt

stop_id stop_name
10 stopname10
20 stopname20

translations.txt

trans_id lang translation
stopname10 ja 新宿
stopname10 ja-Hrkt しんじゅく
stopname10 en Shinjuku
stopname20 ja 新宿
stopname20 ja-Hrkt にいじゅく
stopname20 en Nijuku
  • 方法2. あらかじめよみがなを振っておく

stops.txt

stop_id stop_name
10 新宿(しんじゅく)
20 新宿(にいじゅく)

translations.txt

trans_id lang translation
新宿(しんじゅく) ja 新宿
新宿(しんじゅく) ja-Hrkt しんじゅく
新宿(しんじゅく) en Shinjuku
新宿(にいじゅく) ja 新宿
新宿(にいじゅく) ja-Hrkt にいじゅく
新宿(にいじゅく) en Nijuku

更新履歴

初版

平成29年3月31日 発行

文書修正

  • 誤字の正誤表を作成(平成30年7月5日)

第2版

平成31年3月27日 発行

仕様変更

追加

  • のりば名(stops.platform_code)を追加。
    • 理由:停留所名と独立してのりば名を設定可能にするため。

必須化(JP推奨項目の廃止)

  • 運賃(fareattributes.txt, farerules.txt)を推奨から必須に変更。
    • 理由:国内の経路検索事業者において運賃は必須情報であるため。

必須化

  • 翻訳情報(translations.txt)のうち、よみがな(lang=ja-Hrkt)の設定を必須とした。
    • 理由:国内の経路検索事業者においてよみがなは必須情報であるため。

任意化(JP推奨項目の廃止)

  • 停留所-標柱の親子設定(stops.parent_station)を推奨から任意に変更。
    • 理由:簡易なデータ作成を許容するため。

JP拡張仕様の緩和

  • 経路(routes.txt)を、経由違いや途中止まり、往路・復路を同一経路(route_id)にすることを許容。ただし、運賃、系統番号、路線名に違いが無い場合に限る。
    • 理由:GTFSにおいて推奨されている往路・復路を同一経路にする方法を許容するため。簡易なデータ作成を許容するため。

運賃定義の経路ID(farerules.routeid)を必須から任意に変更。

  • 理由:全路線均一運賃制やゾーン制など、経路に関わらず同一な運賃設定を簡易に入力するため。
文書修正

文書構成・全体

  • 「標準的なバス情報フォーマット」の動的データへの拡張に伴い全体的に修正。
  • 「標準的なバス情報フォーマット」作成の目的、フォーマット作成の手法、データ作成例、付録の各章を廃止し、本文書および各種手引き・ガイドラインに再構成。
  • 静的バス情報フォーマット(GTFS-JP)の概要
  • 「条件付必須」が任意または必須になっていた誤訳を修正。
  • 平成29年1月時点のGTFSリファレンスに基づいている旨を記載。
  • 環境依存文字への注意喚起を記載。
  • 主キーを明確化し相関図とデータ項目表に追加。
  • 日本向け拡張仕様について記載。

事業者情報(agency.txt)

  • 1事業者が複数データセットを作成する場合に法人番号に枝番を設定する旨を記載。
  • コミュニティバス等における設定方法を記載。

停留所・標柱情報(stops.txt)

  • 標柱と停留所の設定パターンを記載。

経路情報(routes.txt)

  • Google Mapsにおいてrouteshortnameが優先的に表示される旨を記載。
  • 系統番号の、経路名への設定方法、国交省のナンバリングガイドラインに基づく設定方法を記載。

通過時刻情報(stop_times.txt)

  • オンデマンドバスの設定例を記載。

提供情報(feed_info.txt)

  • 提供組織は委託先業者でも良い旨を記載。
  • ダイヤ改正日をfeedstartdateに設定する旨を記載。

翻訳情報(translations.txt)

  • Google Mapsの挙動を踏まえた設定例を記載。
  • 日本バス協会の多言語対応ガイドラインに基づく設定方法を記載。